2025/12/03
2025年(令和7年)11月15日(土曜日) 北海道住宅通信に掲載されました✨

暮らしの豊かさを表現 藤城建設(札幌市)
藤城建設は、リノベーション専門ブランド「ウチリノべ」を立ち上げ、1棟目となるモデルハウス兼ショールーム(石狩管内当別町太美)を 2月に公開した。断熱等級6 の高性能改修と、ペレットストーブによる「炎のある暮らし」を組み合わせ、住宅性能と暮らしの豊かさを両立させた提案を打ち出す。
同社代表取締役社長の川内玄太氏は「暮らしを豊かにする装置としての価値に主眼を置いている」とし、ペレットストーブが持つ「快適さ・心地よさ」を強調した。
改修した住宅は築32年、延床面積113・44㎡の木造枠組壁工法2階建。既存外壁は撤去せず、通気層を密閉し既存の断熱材を活かした上で、外側に45㎜のフェノールフォーム、内側に50㎜の高性能グラスウールを追加する「トリプル断熱」を採用。窓はすべてトリプルガラス樹脂サッシに交換し、玄関ドアも高断熱仕様へ。換気は3種換気から1種全熱交換型に変更し、UA値0・24、C値0.7に性能向上した。
暖房には1階・2階に寒冷地エアコン、リビングにペレットストーブを配置。「炎 を楽しむ暮らし」を提案する。屋根の12枚の他に壁面にも4枚の太陽光発電パネルを搭載。壁面だけで約1.8kWを発電でき、ペレットストーブの冬季の着火電力を賄えると試算する。「太陽光で電力を確保できれば、災害時でもペレットトーブで暖を採れる」とレジリエンス性も確保する。また、薪に比べてペレットストーブは手間が少なく、「共働き世帯でも扱いやすく、子どもがいても安全性が高い」と話す。
高断熱ゆえの課題
一方で、等級6以上の高断熱住宅では、ペレットストーブの出力ではオーバーヒートする懸念もあると指摘。将来的には、もっと小型・低出力のペレットストーブが開発されることを望んでいると話す。
他の導入事例でも、「メインは床暖房で、ペレットストーブは火を見てゆっくり時間を過ごすようなシーンで使用し、毎日焚いているわけではない」と川内氏。しかし、「エアコンなどでは得られない豊かさがあると考えている。今後もペレットストープの提案は続けるつもり」と述べ、「北海道らしい暖房器具としてもっと普及してほしい。煙突工事などの負担も少なく、住宅地でも導入しやすい。体験した人は離れられないはず」と期待する。
市内のストーブ店と
ペレットストーブは新六商店(札幌市)から仕入れている。同社とはその他の物件の薪・ペレットストーブでも取引があり、「7~8年の付き合いになる」という。施工にあたっては同社と打ち合わせた上でストーブの設置場所や開口位置、電源位置などを決定する。
開口周辺の断熱や気密は藤城建設が、ストーブは材工込みで新六商店が担当した。 「ペレットストーブはFFストーブとほぼ変わらない工程。施工コストが大きく上がるようなことはない。その点でも薪よりも始めやすい」と説明した。
ライトリノベ構想
今後は階段・構造変更を伴わない「ワンフロア・リノベ」 など、申請負担を抑えた提案の構想を練っていると川内氏。「価格を抑えて、性能向上と炎のある暮らしを実現するライトリノベ」を思い描く。
ペレットストーブの熱量があれば、トリプルサッシとペレットで快適さを確保しつつ、外皮の断熱は抑えめにして設備投資を抑えられる。中規模断熱リノベとペレットストープを融合し、北海道の気侯と暮らし方に合わせた新しい住宅モデルを提示する。
住宅価格高騰の時代に火の文化を再構築し、「手の届く豊かな暮らし」の普及にチャレンジしたいと展望を述べた。








